単身ALS 患者の診断後の在宅生活の実態

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タイトル別名
  • The Reality of Home Life after Diagnosis of ALS Patients Living Alone

抄録

本稿では、単身 ALS 患者の生活実態を明らかにした。研究方法:60 代男性の単身者 1 名の生活場面を参与観察し、2008 年 3 月 22 日~2008 年 6 月 10 日に記録した資料から、診断後の在宅生活の経過についてまとめた。結果:診断後に対象者は、病院の医師から「家族がいないと人工呼吸器の装着は難しい」と伝えられ、事前指示書に(人工呼吸器の装着は)「しない」とサインをしていた。退院後は、介護療養型医療施設に入所の申し込みをしたが空きはなく、在宅で病状が進んだ。利用していた介護保険サービスは、経済的負担が増えることが懸念されて十分な給付を受けていなかったが、生活苦の背景には、生活保護受給に伴う引越しで生じた諸費用、療養や失業に伴う複数制度の煩雑な手続きと収支管理、身体機能の低下に伴う外出支援の欠如があった。診断後から関わった専門職は障害福祉サービスの活用を知らず、デイケアの医師から相談を受けた筆者が、単身 ALS 患者の在宅支援に関わった研究者を紹介したことで、支援の可能性が見えた。しかし、他職種の職域に踏み込まないよう医師が配慮したため、インフォーマル支援の介入までに時間がかかり、本研究対象者にとって必要な情報や支援のタイミングが遅れるかたちで、在宅生活の再構築に向けた支援が始まった。

収録刊行物

  • 遡航

    遡航 2023 (6), 9-30, 2023-02-28

    『遡航』刊行委員会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390577895703679744
  • DOI
    10.57505/sokou.2023.6_9
  • ISSN
    27581993
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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