COVID-19流行下において,やりがいを引き出し長期に及ぶ健康危機を乗り切る保健所体制の構築に向けて

  • 矢野 亮佑
    国立保健医療科学院 令和 4 年度専門課程Ⅰ保健福祉行政分野

書誌事項

タイトル別名
  • Building a team that sustains staff motivation to overcome prolonged health crises: Lessons from COVID-19 pandemic in a public health center of Japan
  • COVID-19 リュウコウ カ ニ オイテ,ヤリガイ オ ヒキダシ チョウキ ニ オヨブ ケンコウ キキ オ ノリキル ホケンジョ タイセイ ノ コウチク ニ ムケテ

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抄録

<p>目的:本研究は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような長期に続き広域に及ぶ重大な健康危機管理事案において職員がやりがいを感じることができ,ひいては危機を乗り切ることができる組織運営に必要な要素について明らかにすることを目的とする.</p><p>方法:COVID-19対応に関わった盛岡市保健所職員や応援職員(のべ12,271人・日)を対象に,令和 4 年 3 月に実施されたアンケート調査データの二次利用分析を行った.</p><p>結果:175名の回答中,「やりがいを感じた/ある程度やりがいを感じた」と回答したのは全体の60.0%だった.やりがいと関連が見られた項目は,組織目標の明確化,組織体制の理解,働きやすさ,仕事に行きたくないと感じたこと(がない)(いずれもp<0.001)であり,対象者の職位,職種,活動した班との関連は見られなかった.「やりがいを感じた/ある程度やりがいを感じた」理由や具体的場面については,「役立ち感,達成感」が44.6%と最も多く,「住民対応」33.8%,「目的・目標が明確」10.8%と続いた.「あまりやりがいを感じなかった/やりがいを感じなかった」理由や具体的場面は「効率が悪い」28.2%,「従事期間が短い」「定型的業務」21.7%,「無理な指示が多い」「時間外業務」15.2%であった.</p><p>結論:改めて現場指揮システム(ICS)の重要性が示された一方,職員が「住民の役に立っている」と実感できる目標設定と業務の組み立て,職員の能力に見合った業務の割り当て,業務の効率化を継続的に進めることが,やりがい感の維持に寄与することが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 72 (2), 161-163, 2023-05-31

    国立保健医療科学院

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