序文

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  • 羽渕 友則
    秋田大学大学院医学系研究科 腎泌尿器科学

抄録

<p> ロボット支援手術の含む『腹腔鏡・ロボット支援手術のポート位置について : エキスパートの考え方を聞く』の本特集を企画したら, 失礼ではあるが, 期待以上に面白く, 示唆に富む内容になった. 先ずは, 執筆していただいたエキスパートの先生がたに心から深謝したい.</p><p> さて, 開放手術においてもその切開の部位, 方向, 長さによってその手術の良否が大きく左右される. 例を挙げるまでもなく, IVC腫瘍塞栓を有する肝浸潤を伴う大きな腎癌の手術などでは術前のシミュレーションと患者の体型と腫瘍の進展度から入念に切開を決めることが最初のキーポイントである.</p><p> 開放手術以上にアクセスポイントが重要なのが, 腹腔鏡手術やロボット支援手術である. これらの手術は始めに設置された数本のポートを介して標的にアプローチする. ロボット支援手術では鉗子の先端の可動性は増したとは言え, 標的部位の近くまでは直線方向に限局される. したがって腹腔鏡でもロボット支援手術でもそのポート位置によってカメラや鉗子類が到達できる範囲や角度が制限され, 最初に決定されたポート位置で, その手術の難易度が大きく変わる. さらに理想のポート位置は, 腫瘍や標的臓器の位置やサイズ, 患者体型, 使用予定の機器や鉗子, 持針器 (左右のどちらの手で縫合するか) によって変化する. 個々の症例でどのように位置を変えていくかは術者のセンスが問われる.</p><p> フライトにおいて離陸と着陸が重要なポイントであるように, ポート位置とサイズの選定は今日のフライトを快適に安全にリードする為のキーポイントである. “ヘボ”なポート位置では, いくらエキスパートがリカバーしようとしても“骨折りの苦しい手術, 見苦しいriskyな手術”になってしまう.</p><p> 腹腔鏡手術, ロボット支援手術のエキスパートによる考え方, 戦略への思考が大いに参考になるこの特集号を腹腔鏡やロボット支援手術を執刀する方々に是非一読していただきたい.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390578141473984384
  • DOI
    10.11302/jserjje.36.1_79
  • ISSN
    2436875X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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