人生の最期の場所についての一般国民の希望と死亡診断書に係る医師法20条の解釈・運用

  • 前田 正一
    慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科

書誌事項

タイトル別名
  • The Public’s Preferences Regarding the Place of the End of Life and the Interpretation and Application of Article 20 of the Medical Practitioners Act on a Death Certificate

抄録

<p>厚生労働省は,平成4年度より概ね5年毎に一般国民等を対象として終末期医療に関する調査を実施してきた。これまでに合計7回の調査が行われている。近年の調査結果を見ると,一般国民の中には,認知症を患った場合,介護施設や自宅など,医療機関以外の場所を最期の場所として希望する者も多いことが推察される。</p><p>しかし,医療機関以外の場所には医師が常駐していないことから,医師による死亡診断が迅速に行えないことがあるなどの事情や,下記のように規定する医師法20条に係る誤解により,患者の中には,人生の最期の段階で医療機関への入院を余儀なくされ,そこが最期の場所になる者がいるとの報告がなされてきた。</p><p>そこで,本稿では,上記の厚生労働省による調査結果を対象として,人生の最期の場所に係る一般国民の意識を確認した上で,(死亡診断・)死亡診断書について規定する医師法20条の解釈及び厚生労働省による関連通知について解説する。</p><p>【医師法20条】</p><p>医師は,自ら診察しないで治療をし,若しくは診断書若しくは処方せんを交付し,自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し,又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し,診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については,この限りでない。</p>

収録刊行物

  • 医療と社会

    医療と社会 33 (1), 85-96, 2023-05-29

    公益財団法人 医療科学研究所

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