地区保健師が捉えているニュータウンの地区特性に関する質的研究

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  • チク ホケンシ ガ トラエテ イル ニュータウン ノ チク トクセイ ニ カンスル シツテキ ケンキュウ

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抄録

<p>目的 ニュータウンとは,高度経済成長期より開発されてきた住宅地である。近年,人為的な造成と一斉入居に起因する地域課題が,造成から長期間を経た地区を中心に顕在化している。住民の健康づくりにおいてどのような影響があるのか,地区保健師の視点からニュータウンの地区特性を考察する。</p><p>方法 東海4県から4地区の調査対象地区を選定し,地区を管轄する市町の保健センター及び地域包括支援センターの保健師6名を研究協力者として,半構造化インタビューによりデータを収集した。得られたデータより逐語録を作成し,質的記述的分析によりカテゴリーを抽出してそれぞれの意味解釈を検討した。</p><p>結果 175コードから,40下位カテゴリー,19中位カテゴリー,6上位カテゴリーが抽出された。上位カテゴリーとして,一斉に起こる少子高齢化の進行と子世代との同居の難しさ,高齢独居男性ケース増加とアルコール依存傾向,特定健診の受診率及び生活習慣が旧地区と異なる,災害時の被害拡大の可能性,地区組織活動における特定の住民への負担集中と合意形成の難しさ,ニュータウンに対応した公衆衛生活動の展開方法の模索,が抽出された。</p><p>結論 ニュータウンは旧地区と比較し健康課題がより顕著である点に特徴がある。社会経済的地位やライフスタイルが似ている住民の集積や,類似した建造環境により特徴付けられるニュータウンは,健康課題のリスクと地域づくりにおける強みの両側面を有していると考えられる。</p>

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