3~5歳の子どもを持つ母親の就業形態, 睡眠問題および育児ストレスの関係

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  • 3~5サイ ノ コドモ オ モツ ハハオヤ ノ シュウギョウ ケイタイ,スイミン モンダイ オヨビ イクジ ストレス ノ カンケイ

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抄録

<p>目的 3〜5歳の子どもを持つ母親を対象に,母親の就業形態や睡眠問題,普段の子育ての中で感じる育児ストレスの関係について明らかにすることを目的とした。</p><p>方法 2019年6月7日〜11日に,社会調査会社 (A社) の登録モニターから,3〜5歳の同居の子どもを持つ20〜49歳の母親を対象として,インターネットによるアンケート調査を実施し,1,601名から調査内容に欠損のない回答が得られた。調査内容は,就業形態,社会経済的地位 (SES),睡眠習慣・概日タイプ度,育児での困りごとなどである。産休・育休や休職中を除く1,529名を解析対象とし,統計解析には,χ2検定,Kruskal–Wallis test,Mann–Whitney U testを用いた。</p><p>結果 母親の就業形態は,常勤が19.8%,パートタイムが23.2%,フリー (在宅ワークを含む) が2.6%であった。就業形態による就寝時刻の差異は認められなかったが,常勤の母親は,他の就業形態の母親と比較して起床時刻 (平日) が10分以上早く,睡眠時間 (平日) に関しても20分以上短かった (p < 0.001)。概日タイプ度では,起床関連得点のみ常勤の母親で有意に高く,子どもの合計得点では専業主婦の子どもの方が有意に高い値を示した (p < 0.001)。平日と休日の睡眠中央時刻のずれを示すソーシャルジェットラグ (SJL) との関連では,専業主婦と比較して常勤およびパートタイム・フリーの方が,また,朝型と比較して中間型・夜型の母親の方が,SJLが大きかった (p < 0.001)。高卒以下の母親の方がSJLは大きく,SESとの関連もみられた。朝食習慣では,親子とも朝食時刻が不規則な方が,毎日定時に摂取している者よりもSJLが大きかった。子どもが「朝起きない」「寝付かない」などにストレスや不安を感じる程度が「非常に・かなり感じる」母親は,そうでない者と比較してSJLが有意に大きい値を示した。</p><p>結論 常勤の母親は,起床時刻が早かっただけでなく睡眠時間も短かったため,慢性的な睡眠不足による影響が懸念された。保護者の夜型化やSJLの拡大は,子どもの食習慣や生活リズムの乱れに直結し,子育ての困りごとを増やすと考えられた。また,学歴とSJLとの関連も見られたことから,今後,就業時間や身近なソーシャルサポートの有無といった点などからも検討する必要があると思われた。SJL低減や育児ストレス軽減のためには,保護者自身の睡眠衛生や生活管理に対する意識の向上と,生活改善も含めた睡眠衛生指導が必要であることが示された。</p>

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