フローサイトメトリークロスマッチにおける2施設間の比較検討

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タイトル別名
  • Comparison of accuracy of Flow Cytometric Crossmatch between two hospitals
  • フローサイトメトリークロスマッチ ニ オケル 2 シセツ カン ノ ヒカク ケントウ

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抄録

<p>フローサイトメトリークロスマッチ(flow cytometry crossmatch; FCXM)は腎移植術前の組織適合性検査として広く行われている。しかしFCXMの操作手順・判定基準は標準化されていないため各施設において異なり,Quality Controlも充分とは言えない。今回,当院におけるFCXMの検査精度を検証し,施設間差を是正するため,当院と福岡赤十字病院にて施行した生体腎移植術前44症例のFCXMの判定結果を比較し,結果に乖離を認めた症例についてはその原因を検討した。福岡赤十字病院を基準とした当院のT-cell陽性および陰性一致率はともに100%(44/44)であった。B-cellでは陽性一致率100%(7/7)に対し,陰性一致率は86.5%(32/37)であった。判定に乖離を認めた5症例のうち2症例でドナー特異的抗体(donor specific antibody; DSA)を認めたが,2症例ではnon-DSAのみ,1症例は抗HLA抗体陰性であった。DSAが陰性であった症例では,pronase処理が未実施であったことが偽陽性につながったと考えられた。FCXMの両施設での一致率は比較的良好であったが,pronase処理を実施していないFCXMにおいて,B-cell弱陽性の結果が得られた場合は偽陽性の可能性も考慮し,抗HLA抗体同定検査の結果も併せて評価する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 72 (3), 407-412, 2023-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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