支配神経筋内分布パターンに基づいた霊長類種におけるヒラメ筋の系統発生

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タイトル別名
  • Phylogeny of the soleus muscle in primate species based on intramuscular distribution patterns

抄録

<p>ヒトのヒラメ筋の前面には、他の霊長類種と異なり、直立二足歩行に重要な羽状筋部が存在する。ヒト羽状筋部は、ヒラメ筋の大部分を支配する後方からの脛骨神経枝(Posterior branch:PB)とは別の、前方に進入する脛骨神経枝(Anterior branch:AB)によって支配される。我々はこれまでに、ABがヒト以外の霊長類種にも存在することを見出し、ABとPBは系統発生学的に由来が異なる筋群を支配している可能性を、末梢神経の分岐パターンから示すことができた。今回は、ABとPBのヒラメ筋内での分布パターンを詳細に調べた。ニホンザル、カニクイザル、フクロテナガザル、チンパンジー、オランウータン、ヒトを対象に支配神経の筋内分布を解析した。PBは、比較したほとんどの種において、筋内で5つの枝に分岐した。ABはカニクイザル、フクロテナガザル、チンパンジー、ヒトに存在し、ヒトではABの一部が筋束に分布した。ヒト以外の種では、ABがヒラメ筋前面の腱膜を貫いて筋内へ入るが筋束へは分布せず、腱膜および血管の周囲へ分布した。ニホンザル、オランウータンにはABが見られなかった。霊長類種間でPBが安定した形態であるのに対し、ABの支配領域に違いが見られたことは、PBとABの支配領域がそれぞれ別の筋群に由来することに関連している可能性がある。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390578371119410560
  • DOI
    10.14907/primate.39.0_28_3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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