シングルセル遺伝子発現解析による卵巣高異型度漿液性癌の腫瘍微小環境および腫瘍内不均一性の解明

DOI
  • 高松 士朗
    京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学教室

抄録

<p>卵巣高異型度漿液性癌(HGSC)において腫瘍微小環境の違いや腫瘍内不均一性は治療抵抗性に深く関連する.シングルセル遺伝子発現解析の既存データを用いてHGSC65検体をメタ解析した.全細胞を上皮細胞,間質細胞,免疫細胞,その他の細胞型に分類し,解析に十分な細胞数をもつ検体を選別したところ,検体ごとの分子サブタイプ(免疫活性型,間葉型,分化型,増殖型)は上記の細胞構成比率に強く相関した.推定される染色体コピー数変化から腫瘍細胞のみを抽出し,その特徴を比較すると,免疫活性型ではIFN-γシグネチャーが高く,間葉型では上皮間葉転換(EMT)シグネチャーが高いなど,分子サブタイプごとに異なる特徴が認められた.推定された染色体コピー数変化を分析すると,ほとんど全ての検体でサブクローン構造(多クローン性)が認められた.術前化学療法前後のペア検体を用いて化学療法感受性クローンと抵抗性クローンを比較したところ,TGF-βに関連したEMT,低酸素,抗原提示能の低下が化学療法抵抗性に関連すると考えられた.シングルセル遺伝子発現解析は今後ますます重要な解析ツールの一つとなることが予想される.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390578381962444928
  • DOI
    10.57291/jsgo.41.2_145
  • ISSN
    24368156
    13478559
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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