内視鏡下鼻副鼻腔手術を行なった線毛機能不全症候群5症例の検討

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  • A Study of 5 Patients who Underwent Endoscopic Sinus Surgery for Primary Ciliary Dyskinesia

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抄録

<p>線毛機能不全症候群(primary ciliary dyskinesia: PCD)は,先天的な線毛の微細構造異常と線毛運動機能の低下によって難治性反復性の副鼻腔炎や中耳炎,気管支拡張症や肺炎といった耳鼻咽喉科・呼吸器科関連疾患を認める。PCDの鼻副鼻腔病変に対する治療法は確立していない。今回我々は,当科で経験したPCD 5症例の臨床的特徴と内視鏡下鼻副鼻腔手術のアウトカムについて後方視的に検討した。2005年から2020年に当科でPCDと診断し,慢性副鼻腔炎に対して内視鏡下鼻副鼻腔手術を行なった5症例を対象とした。年齢は12歳から33歳(平均24歳),男性4例,女性1例であった。3例に肺炎,気管支炎の反復を認め,2例に内蔵逆位,1例に男性不妊を認めた。電子顕微鏡検査にて異常所見を認めたのは4例であり,ダイニン内腕欠損を2例,ダイニン内腕と外腕の欠損を2例に認めた。鼻所見はポリープを3例に認め,全例に膿性鼻漏を認めた。3例は前頭洞または蝶形骨洞が未発達であった。全例にマクロライド療法を施行するも症状改善に乏しく,内視鏡下鼻副鼻腔手術を行なった。術後,鼻腔後方や中鼻道の鼻処置が容易となった。2例で肺炎の罹患頻度が減少し,3例で呼吸機能が改善した。内視鏡下鼻副鼻腔手術とその後の鼻洗浄及び鼻処置により,上気道分泌物クリアランスの改善を促し,下気道病変が軽減される可能性がある。</p>

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