10年を超える手根管開放術の術後成績

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  • Over ten-year follow-up after carpal tunnel release

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抄録

<p>目的:2005年から2011年まで,当院で手術した術後10年から16年の手根管症候群(carpal tunnel syndrome,以下CTS)について,その臨床症状と電気生理学的検査を検討した.</p><p>対象と方法:同期間の手術例は101症例131手で,直接診察や電気生理学的検査を行えた39例53手を対象とした.手術は全例筆者が行い,局麻下に小皮切による手根管開放術を行った.電気生理学的検査は,神経伝導速度(nerve conduction velocity,以下NCV)を行い,短母指外転筋の複合筋活動電位(compound muscle action potential,以下CMAP)の運動神経遠位潜時(distal motor latency,以下DML)と,知覚神経伝導速度(sensory nerve conduction velocity,以下SCV)を計測した.</p><p>結果:再発,再手術例はなかった.術前しびれを有していた53手中,52手でしびれは消失した.筋委縮を有していた16手中,14手は回復していた.DMLやSCVは,術後3ヵ月から急速な改善を示し,術前CMAPの導出不可の重度障害例も,大部分が長期的には改善していた.</p><p>結語:電気生理学的検査は,10年超という術後長期間においても経年的な劣化はわずかであり,しびれや痛み,筋委縮の改善など臨床症状を反映していた.</p>

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