コロナ禍におけるテレワークの期間限定利用者と継続利用者の特徴分析—東京23区と栃木県での勤務者を対象とした調査—

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Limited-time and Continuous Teleworkers in the COVID-19 Situation—Survey of Workers in the Special Wards of Tokyo Metropolis and Tochigi Prefecture—

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説明

<p>環境負荷低減が期待されるテレワークに関し,コロナ禍を契機とした勤務,通勤状況の変化を把握し,継続性を高める示唆を得るため,2020年の3期間における状況をアンケート調査で尋ねた。継続して勤務するテレワーク経験者を対象に,東京23区(n=1032),栃木県(n=506)の有効回答を得た。2020年4–6月(緊急事態宣言期),11月,および1月(コロナ禍前)について分析すると,緊急事態宣言期のテレワーク最多時期であっても完全在宅勤務やサテライト利用者は少なく,出社と組み合わせたテレワーク勤務が多かった。特に栃木県では最多時期にも出社が多く,11月にはほぼ毎日出社に戻る,期間限定利用者であった。通勤状況は,鉄道が多い東京23区では所要時間は長いが,栃木県の方が交通手段に関わらず乗車時間は長かった。サテライト利用者は少数であるが,利用開始者は通勤時間の減少幅が大きい。感染防止のために通勤方法を変更した者は少なかった。</p><p>テレワーカーをその実施状況から,緊急事態宣言期に開始し継続したC1, コロナ禍前から継続したC2, 緊急時のみ利用したC3, 利用はしたものの頻度が低いC4に類型化した。両地域ともC4が最多で,特に栃木県では66%が含まれ,事業継続のための限定的な利用が多かった。東京23区における継続利用者が多いのは,40代,情報通信業であり,通勤時間が長かった。在宅勤務のために家具の再配置や新規購入を行った割合が高かった。一方,緊急事態宣言期のみ利用頻度が高かったのは女性,教育業であった。</p><p>自動車利用が主体で通勤時の環境負荷が大きい栃木県では,テレワーク実施時にも出社頻度が高く,コロナ禍がやや収まった11月の段階で従来の勤務形態に戻っており,自動車通勤地域でのテレワークの定着が重要な課題である。コロナ禍はテレワーク開始の動機づけにはなったが,それを定着させるには,地域や業種に即した支援や,感染症対策に代わる社会的な意義づけが改めて必要である。</p>

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 36 (4), 122-134, 2023-07-31

    社団法人 環境科学会

被引用文献 (1)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390578437525257856
  • DOI
    10.11353/sesj.36.122
  • ISSN
    18845029
    09150048
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • KAKEN
    • Crossref
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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