雇用形態間の分業と協業に見るパート労働者の仕事の特徴

  • 胡 亜楠
    北海道大学教育学院 職業能力形成論

書誌事項

タイトル別名
  • ―スーパーマーケットにおける部門別の考察―

抄録

パート労働者の量的な増加とともに,職務内容の高度化と責任の拡大が進み, 基幹的な労働力として活用されている。同じ企業内でも配置された部門によっ てパート労働者の責任や,正社員が担当する職務と重なる程度は異なる。それ では,正規労働者とパート労働者はどのように分業・協業しているのか。そこ で,本研究はスーパーマーケットC 社の農産,デリカ,水産の三つの部門で の正社員とパート労働との分業と協業実態を調査し,パート労働者に任される 仕事の特徴とその要因について検討を行った。結果として,部門ごとに正社員 の職務や責任の重たさが異なることによって各部門での正社員とパート労働者 の分業と協業のあり方が異なっていることが示された。正社員とパート労働者 の職務分担を技術の高低を基準として分類すると,知識と技術を必要とする水 産部門での職務分担が質的に異なる「分離型」となる。最も技術が低い農産部 門では商品・売場に関する職務が重複する「一部重複型」となっている。しか し,この技術の差はパート労働者の賃金や評価に反映されておらず,パート労 働の処遇改善を図るには雇用形態によって決められた評価方法と賃金制度を見 直す必要がある。また,調査ではベテランのパート労働者は業務内容において 契約職員に接近していることが示された。契約社員とパート労働者との働き方 や処遇上の違いを分析することがパート労働者の処遇改善を探る糸口となると 考えられる。

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