帝王切開創から離れた腹直筋内に発症した腹壁子宮内膜症の1例

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タイトル別名
  • A case of abdominal wall endometriosis developed in the muscle layer away from the cesarean scar
  • テイオウ セッカイソウ カラ ハナレタ フクチョクキン ナイ ニ ハッショウ シタ フクヘキ シキュウ ナイマクショウ ノ 1レイ

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抄録

稀少部位子宮内膜症における腹壁子宮内膜症は非常にまれな疾患である.発症には産婦人科手術が関連するといわれており,手術瘢痕部に発生する場合が多い.また瘢痕部に発生する内膜症は,皮膚または皮下脂肪層に発生することが多いとされている.今回われわれは,帝王切開術後瘢痕部から離れた腹直筋内に内膜症を発症した症例を経験したので報告する.症例は32歳,2妊2産.24歳時に妊娠38週で分娩停止のため緊急帝王切開術,27歳時に妊娠29週に子宮内感染のため緊急帝王切開術を施行した既往がある.子宮内感染の補助診断として羊水検査を実施していた.月経困難症状はなく内膜症の既往はない.30歳ごろから臍下右側の腫瘤感と,月経に一致した同部の疼痛を自覚し,32歳時に当院紹介となった.臍下右側に可動性不良の弾性腫瘤を触知し,MRI検査で腫瘤に一致した腹直筋内に,T2高信号域の囊胞を伴う境界明瞭な2 cm大の腫瘤を認め,腹壁子宮内膜症が疑われた.ジエノゲストを6カ月間投与したが,腫瘤の大きさに変化はなく,疼痛の増強を認めたため,外科的切除を実施した.病理検査で腹直筋内に出血を伴う子宮内膜組織を認め,切除断端に病変組織は認めなかった.術後再発予防目的にジエノゲストを2年間内服し,明らかな再発徴候や合併症なく経過た.〔産婦の進歩75(3):378-383,2023(令和5年8月)〕

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