子宮腺筋症と連続したpolypoid endometriosisの1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of polypoid endometriosis contiguous with uterine adenomyosis
  • シキュウ センキンショウ ト レンゾク シタ polypoid endometriosis ノ 1レイ

この論文をさがす

抄録

Polypoid endometriosisは,画像および臨床経過上悪性腫瘍との鑑別を要するまれな子宮内膜症である.われわれは,子宮腺筋症から発生したようにも考えられる巨大なpolypoid endometriosisの症例を経験した.患者は53歳,G2P2,既往症として39歳時に右卵巣子宮内膜症性囊胞にて右付属器摘出術を施行していた.患者は急速に増大する右下腹部腫瘤を主訴に来院した.内診上,子宮の右側に新生児頭大の腫瘤を認め子宮との可動性は不良であった.MRIで子宮筋層から連続した内部に蜂巣状を呈する腫瘤を認め,CA125も532.9 U/mLと高値で悪性腫瘍の可能性が否めなかった.これに対して,腹式子宮全摘術および左付属器摘出術を施行した.骨盤内は子宮内膜症によると思われる凍結骨盤の状態で,腫瘍は子宮右後壁から連続しており,周囲の組織と強固に癒着していた.摘出標本の病理組織学的検査にて腫瘤の腺管,間質は子宮内膜類似の腺管,間質と考えられ,polypoid endometriosisの診断に至た.Polypoid endometriosisは臨床上,悪性に類似の経過をとることもあるが,臨床経過や画像所見上の特徴を把握することで鑑別診断に挙げることができれば,過剰侵襲を避け,適切な治療の選択につながると考える.〔産婦の進歩75(3):284-290,2023(令和5年8月)〕

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ