術前より子宮体部原発扁平上皮癌を疑った1例

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タイトル別名
  • A case of primary endometrial squamous cell carcinoma suspectd preoperatively
  • ジュツゼン ヨリ シキュウタイブ ゲンパツ ヘンペイ ジョウヒ ガン オ ウタガッタ 1レイ

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抄録

子宮体部原発扁平上皮癌はきわめてまれな腫瘍であり,本邦において子宮体癌で占める割合は 0.5%未満とされている.今回われわれは,術前に子宮体部原発扁平上皮癌を疑い,術後確定診断した1例を経験したので報告する.症例は65歳,3妊0産.2年前からの不正性器出血で近医を受診,骨盤MRI画像で子宮体部に2 cm大の不整腫瘤を認め,子宮体癌が疑われ当科紹介となった.子宮内膜組織診で角化を伴う扁平上皮癌を認めており,画像検査上子宮頸部に明らかな腫瘍性病変がないことから,子宮体部原発の扁平上皮癌を疑った.腫瘤は内子宮口と近接しており,準広汎子宮全摘術,両側付属器摘出術および骨盤内リンパ節郭清を実施した.摘出子宮の肉眼所見では体下部から内腔に突出する隆起性病変を認めた.組織所見では角化を伴う扁平上皮癌を認め,腺癌成分は含まなかった.腫瘍と子宮頸部扁平上皮との間に連続性はなく,子宮頸部に病変は認めないことから,子宮体部原発扁平上皮癌と最終診断した.腫瘍組織にはp16の高発現が見られた.pT1aN0 Stage IAであり,術後追加治療は実施せず,現在術後1年半再発なく経過している.子宮体部原発扁平上皮癌は疾患の希少性から術前診断に苦慮する場合があり,診断や治療法の確立を目指して今後さらなる症例の蓄積が必要である.〔産婦の進歩75(3):372-377,2023(令和5年8月)〕

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