卵膜付着した臍帯血管の自然断裂により胎児貧血を生じた1例

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タイトル別名
  • A case of fetal anemia caused by rupture of umbilical cord blood vessels with mangrove-like velamentous cord insertion
  • ランマク フチャク シタ サイタイ ケッカン ノ シゼンダンレツ ニ ヨリ タイジ ヒンケツ オ ショウジタ 1レイ

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抄録

臍帯卵膜付着は臍帯圧迫されやすく,また,破水や胎動に伴って卵膜上の血管が断裂することがあることも知られ,児の予後は非常に不良である.今回,未破水の状態で緊急帝王切開を行い,臍帯血管断裂を認めた臍帯卵膜付着症例を経験した.症例は28歳,2妊1産.妊娠経過中に特記すべき異常を認めなかった.妊娠40週0日の妊婦健診時の胎児心拍数モニタリングで心拍数基線180 bpm,基線細変動の減少および遅発一過性徐脈を認め胎児機不全と診断し緊急帝王切開術を施行した.血性羊水を認め,胎盤は分葉胎盤で臍帯がマングローブ状に卵膜付着しており臍帯血管の一部断裂を認めた.病理組織検査で絨毛膜羊膜炎の所見も認めた.新生児はHb7.8g/dLと著明な貧血となっていたが,早期娩出と輸血により救命し得た.精査鑑別により,新生児貧血の原因は臍帯血管断裂と考えられた.経過と胎盤所見より,臍帯血管自然断裂の誘因として,卵膜付着した脆弱な血管に血栓形成を伴う臍帯炎が発生したことが示唆された.〔産婦の進歩75(3):301-307,2023(令和5年8月)〕

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