オオアシトガリネズミの飼育下における繁殖

  • 沖本 康平
    東京農業大学大学院生物産業学研究科生物生産学専攻
  • 大舘 智志
    北海道大学低温科学研究所
  • 勝山 友梨子
    東京農業大学生物産業学部
  • 下井 岳
    東京農業大学大学院生物産業学研究科生物生産学専攻 東京農業大学生物産業学部
  • 和田 健太
    東京農業大学大学院生物産業学研究科生物生産学専攻 東京農業大学生物産業学部
  • 亀山 祐一
    東京農業大学大学院生物産業学研究科生物生産学専攻 東京農業大学生物産業学部

書誌事項

タイトル別名
  • Breeding of long-clawed shrews, <i>Sorex unguiculatus</i>, in captivity
  • オオアシトガリネズミ ノ シイク カ ニ オケル ハンショク

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説明

<p>我々は野外より捕獲したオオアシトガリネズミSorex unguiculatus(真無盲腸目トガリネズミ科)を実験室内で飼育し,飼育下繁殖を試みた.その結果,交尾・妊娠・分娩・産仔の離乳に成功した.性成熟した雌雄をペアリングすると,腰を左右に振る行動や頻繁に雄の周りを徘徊する行動が雌で観察された.ペアリング2日目には乗駕が観察された.分娩まで至った2ペアはそれぞれ51回と9回の乗駕が観察され,平均(±SD)乗駕時間はそれぞれ39±59秒と56±54秒であった.分娩に至らなかったペアでも複数回以上の乗駕が観察された.妊娠期間は21~22日と推定された.実験室内で妊娠した2例およびすでに妊娠した状態で捕獲された個体の10例の合計12例で娩出された産仔が観察され,そのうち4例では産仔の離乳に成功した.離乳期間は31~36日と推定された.育仔中の雌は床材とした藁でドーム状の巣を形成した.母獣の活動時間は育仔日数を追うごとに増加した.離乳した産仔は亜成体とほぼ同じサイズに達し,離乳後9週までは大きな体重増加が見られなかった.</p>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 63 (2), 143-155, 2023

    日本哺乳類学会

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