我が国における表情筋記載の歴史と筋名の変遷

DOI
  • 鳥海 拓
    日本歯科大学新潟生命歯学部解剖学第1講座
  • 島田 和幸
    日本歯科大学新潟生命歯学部解剖学第1講座 鹿児島大学 東京都立大学健康福祉学部理学療法学科
  • 寺田 員人
    日本歯科大学新潟病院
  • 易 勤
    東京都立大学健康福祉学部理学療法学科
  • 野中 直子
    昭和大学歯学部口腔解剖学講座
  • 影山 幾男
    日本歯科大学新潟生命歯学部解剖学第1講座

書誌事項

タイトル別名
  • Historical Changes in the Description and Names of Facial Muscles in Japan

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抄録

<p>表情筋はヒトの感情表現に重要な働きをする筋群である。本研究では、江戸時代以降に出版された解剖書を基に、時代背景とともに我が国における表情筋の呼称と記述の変遷について調査した。1774年に『解體新書』で初めて表情筋の記載説明がなされた後、『重訂解體新書』(1826年)で用語の追加があった。さらに、『解體則』(1858年)で表情筋の詳細な説明がなされた。明治時代になると西洋医学が導入され、初期には英語圏解剖書の原本翻訳書が出版された。なお、この時期の解剖書では翻訳者によって筋名が異なる状況であった。しかし、中期になると、ドイツ医学の教育を受けた日本人自身が著わした解剖書が出版されるようになった。これらはドイツ語で書かれた解剖書の記載方法を参考にしており、各解剖書での表情筋名の記載とその内容に普遍性がみられるようになった。そして、1905年(明治38年)の鈴木による『解剖學名彙』の出版を境にして、表情筋の解剖学名の基本的な日本語名称はほぼ統一された。</p>

収録刊行物

  • 形態・機能

    形態・機能 22 (1), 2-13, 2023

    コ・メディカル形態機能学会

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