2024年以降のアイスランドの捕鯨政策をめぐる一考察

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  • A Note on Iceland's Whaling Policy after 2024

抄録

2022年2月,アイスランドのスヴァンディス・スヴァヴァルスドッティル食料・水産・農業大臣は,2024年以降捕 鯨を継続しない意向を発表した.その主たる根拠は,2019年から2021年までの3年間,ナガスクジラの捕殺 はなく,ミンククジラの捕殺は1頭なので,捕鯨に経済的意義がないという事実にある.これに対して,同年3 月,捕鯨会社のクヴァルル社は,3年間の捕鯨中断ののち,2022年漁期からナガスクジラ捕鯨を再開する意 思を表明した.現在の右派=中道右派=左派,親捕鯨=反捕鯨の3党から成る連立政権を取り巻く複雑な アイスランドの政治状況を考慮すれば,2022年と2023年に利益が出る程度のナガスクジラの捕殺量があれ ば,2024年以降の捕鯨中止の実現にはかなりの困難が伴うと見込まれる.本稿において,筆者は,2023年 限りで失効する現行の捕鯨規則に代わるものとして,従来の5年間の捕鯨期間ではなく2年間の捕鯨期間と した捕鯨規則を制定し,2024年と2025年の捕鯨を許可することが,現実的な解決策であることを提示する.

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