2019年春に日本海の福井県及び石川県沿岸に出現したコククジラ

書誌事項

タイトル別名
  • A Gray Whale, Eschrichtius robustus, Appeared off Fukui Prefecture and Ishikawa Prefecture, Sea of Japan, in the Spring of 2019

抄録

2019年の3月上旬~6月上旬に,福井県北部~石川県中部沿岸の距離約85kmの範囲にコククジラ1 個体が出現した.体長は11~13mと推定され,胴後半左側に陥凹部が見られた.約3ケ月間の滞留 は,日本近海で最も長い滞留期間であった.クジラは最初3月上旬~中旬にかけ,石川県南西部(加 賀市,小松市)の沿岸約7.5kmの範囲に出現した.加賀市では,新堀川河口南側の海岸から数十m沖 と同北側の海岸の約200m沖に出現し,潜水と浮上を繰り返していた.さらにこの海域から南側の 福井県北部のあわら市沿岸では,3月に散発的に出現した.次に滞留した石川県中部(かほく市,宝 達志水町)沿岸では,3月下旬から6月上旬にかけ約13.5kmの範囲に出現した.かほく市では,距離 約5km,400~700m沖,水深約8mの底質が砂の海域に出現した.クジラは海底砂州に沿って,南北 を行き来し,潜水と浮上を繰り返しており,索餌や摂餌を行っていた可能性がある.コククジラは 福井県北部から石川県中部の沿岸にかけてエサを探しながら移動していたと考えられる.日本列 島の日本海側中央部沿岸は,歴史的にコククジラが来遊し,現在もほぼ同じ海域を回遊ルートと して利用している可能性があると考えられる.

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