皮膚症状が先行した全身性サルコイドーシスの 2 例

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Cutaneous Sarcoidosis as an Initial Sign of Systemic Sarcoidosis
  • ヒフ ショウジョウ ガ センコウ シタ ゼンシンセイ サルコイドーシス ノ 2レイ

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抄録

<p>症例 1 は 79 歳,女性。5 年前からの右下腿の鱗屑を伴う約 5 mm から 1 cm の乾癬様皮疹で受診した。 症例 2 は 77 歳,男性。2 カ 月前からの両下腿の慢性色素性紫斑様の皮疹で受診した。症例 1 は真皮,症例 2 は真皮から皮下組織に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,病理組織学的所見より皮膚サルコイドーシスと診断した。症例 1 では,生検後の詳細な問診で,3 年前にぶどう膜炎,1 年前に第 3 度房室ブロックの既往が判明した。当院初診時,心・眼病変の病勢は抑えられており,皮膚症状はステロイド外用,トラニラスト内服で軽快したが,初診 3 カ 月後に FDG-PET で心臓に異常集積と全身のリンパ節腫脹を認め,活動性心サルコイドーシスと診断された。症例 2 では初診時,肺・心・眼サルコイドーシスを疑う所見は認めず,皮膚サルコイドーシスと診断した。ステロイド外用とミノサイクリン,トラニラスト内服治療で 4 カ 月後に色素沈着となったが,4 年後にテント状周辺虹彩前癒着や豚脂様角膜後面沈着物などの典型的な眼症状が出現し,皮膚症状も再燃していた。症例 1,2 ともに初発症状は皮疹であり,病理組織学的所見により皮膚サルコイドーシスと診断した。皮膚病変は他臓器より生検しやすいため診断に有用であり,初診時から生検することが望ましい。また,遅れて多臓器病変が出現する可能性を患者に伝えておく必要がある。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (4), 265-271, 2023-08-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (6)*注記

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