上顎前歯部の審美・機能障害に対してデジタルワークフローを活用した直接法コンポジットレジン修復を行った1症例

DOI
  • 髙橋 基
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 高橋 礼奈
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 島田 康史
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Direct Composite Restoration for Esthetic and Functional Disorder of Anterior Teeth with a Digital Workflow: A Case Report

抄録

<p> 目的:矯正歯科治療後,審美的・機能的観点から前歯の形態修正が必要となることがある.歯の形態修正には間接法修復と比較して低侵襲であり,高い接着強さを示すことから直接法コンポジットレジン修復が用いられることが多く,コンポジットレジン修復を前提に矯正歯科治療が行われることもある.今回,上顎両側中切歯欠損による審美・機能障害に対し,矯正歯科治療後にデジタルワークフローを活用したコンポジットインジェクションテクニックを用いて上顎両側側切歯・犬歯へ直接法コンポジットレジン修復を行い,これまでのところ良好な結果を得られているので報告する.</p><p> 症例:50歳女性.上顎両側中切歯を抜去しており,上顎両側側切歯・犬歯をコンポジットレジン修復にて中切歯・側切歯に近い形態へ修正することを前提として,マルチブラケット装置を用いた矯正歯科治療が行われていた.東京医科歯科大学病院むし歯科初診時には,以下の所見が認められた.1.上顎側切歯・犬歯間は両側とも約2mmの空隙,2.上顎両側側切歯間は緊密な接触,3.上顎前歯部の審美・機能障害.口腔内スキャナーにて上下顎歯列の光学印象,咬頭嵌合位での咬合採得を行った.上顎両側側切歯・犬歯のデジタルワックスアップを行い,高精度光造形方式3Dプリンタにてワックスアップ前後の3Dプリント模型をそれぞれ出力し,切縁部にフロアブルコンポジットレジン注入用開口部を付与した透明性の高いクリアシリコーンをインデックスとして作製した.上顎両側側切歯・犬歯のエナメル質に対してリン酸エッチングを行い,2ステップ接着システムによる歯面処理を行った.クリアシリコーンを口腔内に装着し,切縁開口部からフロアブルコンポジットレジンを注入,頰舌側から各歯20秒以上光照射を行った後,クリアシリコーンを口腔内から撤去した.そして,形態修正,咬合調整,研磨を行った.</p><p> 結果:6カ月経過時点において良好な予後が確認されている.</p><p> 結論:本症例では,上顎複数歯の審美・機能障害に対してデジタルワックスアップを基に作製したクリアシリコーンをインデックスとして使用し,フロアブルコンポジットレジンのみの修復により良好な予後を得られた.デジタルワークフローを活用したコンポジットインジェクションテクニックにより,従来のフリーハンドのコンポジットレジン修復と比較して咬合調整が最小限ですみ,チェアタイムは大幅に短縮されることがわかった.</p>

収録刊行物

  • 日本歯科保存学雑誌

    日本歯科保存学雑誌 66 (4), 224-232, 2023-08-31

    特定非営利活動法人 日本歯科保存学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390578769000153344
  • DOI
    10.11471/shikahozon.66.224
  • ISSN
    21880808
    03872343
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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