津屋崎入江における潮間帯地下の塩分とヨシの空間分布

DOI Web Site 参考文献24件 オープンアクセス
  • 小山 彰彦
    九州大学大学院生物資源環境科学府附属水産実験所
  • 鬼倉 徳雄
    九州大学大学院生物資源環境科学府附属水産実験所

書誌事項

タイトル別名
  • Groundwater salinity and spatial distribution of reed marshes in intertidal zones of the Tsuyazaki Inlet.

説明

<p>ヨシ生育域と非生育域における潮間帯地下の塩分動態を明らかにするため,津屋崎入江の潮間帯を調査した. 2021 年 5 月から 2022 年 4 月の間に,対象地のヨシ生育域と非生育域の地下,および澪筋(地表)に調査点を設け,電気伝導率ロガーを設置した.計 152 日間の観測を行い,推定された地下の塩分を比較した結果,地下水は澪筋部(地表水)と比べての塩分の日較差が小さく,安定していた.また,ヨシ生育域と非生育域では地下水の塩分が異なり,前者は後者よりも有意に小さかった.ヨシ生育域は山地と隣接しているのに対し,非生育域は平野に隣接していることから,陸域の地形条件に応じて伏流する淡水量が異なり,結果として潮間帯地下の塩分に相違が生じていると示唆された.さらに,ヨシ生育域と非生育域に,それぞれ順に 7 ヶ所と 5 ヶ所の調査点を設け,2021 年 12 月と 2022 年 7 月に地表水と地下水の塩分を測定した.その結果,地表水とヨシ非生育域地下の塩分の中央値は 28.0 ppt を超えており,海水とおおむね同等であった.一方,ヨシ生育域の地下の塩分は地表水,およびヨシ非生育域地下の塩分よりも有意に小さく,その中央値はヨシの発芽と生育が可能な範囲であった.これらの結果から,ヨシ生育域の地下水は安定していることに加えて,非生育域と比べて低塩分であることが示唆された.今後,潮間帯地下の塩分動態に関するさらなる調査を行うことで,より効果的なヨシ原の再生候補地の選定が期待される.</p>

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参考文献 (24)*注記

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