ツォンカパのヘールカ身体曼荼羅成就法『密意解明』について

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タイトル別名
  • The Clear Illumination of Intent: An Overview of Tsongkhapa’s Heruka Body Maṇḍala Sādhana
  • The Clear Illumination of Intent : An Overview of Tsongkhapa's Heruka Body Mandala Sadhana

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抄録

<p> 本論文はチベットの有名な学僧であるツォンカパが著した『密意解明』(dGongs pa rab gsal)の構造を示し,そしてその特徴を明らかにすることを目的とする.</p><p> 『密意解明』は生起次第の修行者向けのヘールカ身体曼荼羅の成就法儀軌である.本テキストではガンターパの直接引用は見られないが,その内容から見るとガンターパの成就法を元にしていることは明らかである.『密意解明』はツォンカパの晩年,およそ1415年頃の著作と思われる.奥書によれば,チベットのガンデン寺にて書かれ,カシパ・リンチェンによって書き写された.ツォンカパは複数の高僧からの要請を受け,この教えを説いたということである.テキスト自体は27フォリオからなり,主に散文で書かれている.構成はチベットで作られた一般的な儀軌の構成となっている.</p><p> ツォンカパは『密意解明』を2つの部分に分けている.それは(1)「実際の修習の次第」(lam sgom pa’i rim pa dngos),(2)「修習の効能」(de ltar bsgom pa’i phan yon)である.また(1)はさらに(1.1)「修習の対象」(gang gis sgom pa’i rten),(1.2)「修習の場所」(gang du sgom pa’i gnas),(1.3)「修習の実践方法」(ji ltar sgom pa’i tshul)と3つに分かれており,(1.3)が成就法の中心をなす.</p><p> 本成就法は瞑想・儀式の準備から始まり,次に外曼荼羅の観想が行われる.その後身体曼荼羅の観想が行われ,供養や賞賛,曼荼羅を対象とした瞑想が行われる.最後に真言の念誦とバリ供養が行われ,成就法の修習が終了する.この構造はガンターパの『吉祥なるチャクラサンヴァラの成就法』と概ね一致するが,ガンターパのものよりはるかに詳しく説かれている.本論文ではにそれぞれの部分を詳細に検討する.</p>

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参考文献 (1)*注記

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