<i>Avihitā bhakti</i>について

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  • On <i>Avihitā Bhakti</i>
  • On Avihita Bhakti

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抄録

<p> マハーラーシュトラのヴィシュヌ教徒ヴォーパデーヴァ(ca. 13thCE)はその著作Muktāphala(MPh)の第五章でバクティを「規定されたバクティ」(vihitā bhakti)と「規定されていないバクティ」(avihitā bhakti)に分類している.また彼の庇護者であったヘーマードリ(ca. 13thCE)は,MPhに対する註釈Kaivalyadīpikā(KD)においてそれぞれについて詳解している.私は以前に,MPh・KDにおけるバクティの一般的定義と規定されたバクティの定義について論じたが,規定されていないバクティに関しては検討する機会を得ていなかった.そのため本稿では,MPhとKDにおける規定されていないバクティに関する諸問題を論じた.その諸問題とは,1) 「規定されていない」ということはどういう意味であるのか.2) 規定されていないバクティによる救済の論理とはどのようなものであるのか.3) 規定されていないバクティの下位分類にはどのようなものがあるのか,というものである.以上のような諸問題をMPhとKDを分析することによって明らかにした.</p><p> 本稿における分析の結果,以下のことが明らかとなった.1) に関しては,バクティの手段である愛欲等が自然に成立したものであるため,ヴェーダ聖典の規定(vidhi)の対象とならないという意味で,そのバクティが「規定されていない」ものであるということであった.2) に関しては,意志的な努力もなく,自然と沸き起こった愛欲等によって主宰神にバクティを捧げることで,主宰神の恩寵のみによって救済に与ることができる,というものであった.3) に関しては,愛欲から生じるバクティ,嫌悪から生じるバクティ,恐れから生じるバクティ,愛着から生じるバクティという四種の下位分類があった.しかし,規定されたバクティが14種に分類され,体系的に階梯づけられているのとは異なり,四種の規定されていないバクティはそれぞれそれ自体で解脱という果報を生じさせることができる.</p>

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