高電圧電撃傷による多発性の筋損傷を画像評価と段階的治療により治癒した1例

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  • A Case of Multiple Muscle Injuries Caused by High-voltage Electrical Injury and Healing by Image Evaluation and Step-by-step Treatment

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抄録

<p> 症例は34歳, 男性. 変電所での作業中に高圧の銅線に接触し, 3,0000Vの電流が体内を流れ, 背部と両大腿にⅢ度熱傷を生じた. 熱傷受傷面積は6%で, 背部に3%, 右大腿に1%, 左大腿に1.5%のⅢ度熱傷を認めた. 手指には0.5%の浅達性Ⅱ度熱傷を認めた. 造影CTでは腹腔内臓器に損傷を認めなかった. 受傷翌日よりベッドサイドで背部と両大腿の筋体を含めた壊死組織の除去を行った. 造影CT・MRIにて受傷部の明らかな損傷範囲の拡大を認めないことから, 受傷後21日目に背部と両大腿のⅢ度熱傷にデブリードマンと人工真皮の貼付を施行した. その後, 局所陰圧閉鎖療法を行い, 52日目に分層植皮術を施行した. 73日目に創閉鎖が完了し退院となった. 電撃傷による熱傷は通常の熱傷と異なり体内に電流が流れるため, 組織損傷の波及範囲を見極めるのに画像診断を組み入れながら時間をかけ, 確実なタイミングと方法で創閉鎖することが重要である.</p>

収録刊行物

  • 熱傷

    熱傷 49 (3), 144-149, 2023-09-15

    一般社団法人 日本熱傷学会

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