令和5年度春季大会 高校生による研究発表最優秀賞を受賞して

  • 五十嵐 康二
    沖縄県立沖縄水産高等学校海洋サイエンス科 生物部副顧問 教諭

抄録

<p>受賞発表題目:「軽石・生成ペレット入り人工ライブロックの製作に関する研究」</p><p>発表者:坂本悠輔,岸本侑之介,國吉海里,山川 裕,崎枝留希(沖縄水産高等学校生物部)</p><p>1. 研究発表に至る経緯</p><p> 本校は1904年創立で,県内でも歴史ある高校の1つである。当初の設置学科は水産系学科のみであったが,現在は海洋サイエンス科(海洋生物・マリンスポーツ)と海洋技術科(航海・機関),総合学科(水産食品,工業,商業,福祉,家庭,スポーツ)の3科で編成されており,様々な専門分野を学ぶことができる。</p><p> 生物部でも,そんな本校ならではの視点で専門的な研究を行っており,野外で採取するなどした様々な生物の飼育・観察を行っている。休日や長期休暇にはフィールドワーク合宿で,ヤンバルクイナ,イシカワガエルなどの天然記念物の調査・観察を行っている。そして,経験豊かな正顧問のお陰で,野生のヤンバルクイナの近接目視にもほぼ毎年成功している。昨年は,研究活動の一環として,海水魚の水槽飼育時に重要な役割を果たすライブロック(LiveRock以下LR)に着目した。LRとは,死サンゴの骨格表面が海水中で藻類に覆われ,内部に微生物や小型の生物が住み始めたものをいう。生きている石,LiveRockといわれる所以である。海水魚水槽内で,LRは生体の住処のみならず水質浄化の役割も果たしている。十数年前までは,沖縄や東南アジアの熱帯・亜熱帯域で採取された天然LRが,世界中のアクアリストに高値で取引されていた。しかし近年,サンゴ礁保全のため天然LRの採取が世界規模で規制され,沖縄県では完全に禁止されている。そのため,世界中で人工LRの需要が急速に高まっている。生物部では当初,LRとほぼ同じ成分である生成ペレット(浄水の過程で地下水から除去された硬度成分)を使用して人工LRを製作していたが,「軽石を入れてみてはどうか」,という生徒の発案から,軽石・生成ペレット入りLRを製作し,海水魚飼育者の視点に立った評価基準を作成して人工LRと天然LRの差異について研究を行うことになった。</p>

収録刊行物

  • 日本水産学会誌

    日本水産学会誌 89 (5), 496-496, 2023-09-15

    公益社団法人 日本水産学会

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