段丘・丘陵の盛土地における液状化の土地条件

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タイトル別名
  • Ground Condition of Liquefaction in Embankments of Terrace and Hill
  • A Case of Sendai City, Miyagi Prefecture
  • ー宮城県仙台市を事例にー

抄録

<p>Ⅰ. 目的</p><p> 変動帯にある日本では,地震による被害を歴史的に繰り返してきた。その被害のうち液状化に関する要因の検討が嘉門・三村(1995)や若松ほか(2017)などで行われている。本研究では宮城県仙台市で,近年に森ほか(2014)などで散見され,要因の検討があまり進んでいない段丘・丘陵の盛土地で生じた液状化被害を対象に,その発生条件を明らかにすることを目的とする。</p><p>Ⅱ. 研究方法</p><p>1)これまでの液状化記録</p><p> 液状化の記録を全国ベースで検討した。液状化地点の分布図と土地条件図を重ね,それらを地形区分別に集計した。ニュータウンの分布図と地質図を重ね,それらを地質別に集計した。</p><p>2)現地調査</p><p> 研究対象地域 宮城県仙台市において2011年東北地方太平洋沖地震で記録された地点1~26の液状化地点で現地調査を行った。現地では人工構造物を中心とした周囲の景観や,地図では読み取れない起伏,亀裂,微地形を観察した。観察結果から地下水面を推定し,液状化が発生しやすい地形・地質モデルを作成した。</p><p>3)液状化地点の地形量解析</p><p> 国土地理院の基盤地図情報の5mメッシュDEMと仙台市都市整備局開発調整課(2022)を用いて求めた液状化地点の地表・地下流域の比較により,液状化発生の土地条件を検討した。また,法令とその土地条件の関連性を考察した。</p><p>Ⅲ. 結果及び考察</p><p> 本研究では以下の4点が分かった。</p><p>1)これまでの液状化は低地と人工地形で多く発生し,特に人工地形では盛土地・埋立地での割合が高い。ニュータウンの開発は,主に地質が堆積岩の場所で行われ,人が居住して以降,液状化記録数が増加する。</p><p>2)液状化地点の地形・地質モデルを5型に分類できた。A型は傾斜がある盛土地で構造物が地下水の流れを遮断する条件,B型は段丘・丘陵を刻む谷の谷頭が盛土された条件,C型は段丘・丘陵を刻む谷や谷底平野が盛土された条件,D型は傾斜のある盛土地での遷緩線の直ぐ下位条件,E型は傾斜のある盛土地がわずかな凹地となり,さらに地下水の流れを構造物が遮断する条件である。</p><p>3)液状化が生じやすい土地条件は,水が滞留することで地下水面が地面と近づく場所である。そのような地形については谷の縦断面に着目すべきで,傾斜及び谷幅の解析が有効であることが分かった。</p><p>4)法令は大地震の度に改正されてきたが,斜面崩壊対策に関心が向けられ,液状化対策の視点が少ないことが分かった。また,液状化を誘発している項目もあることが分かった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579078735101696
  • DOI
    10.14866/ajg.2023a.0_21
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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