未利用竹材を用いたセルフビルド可能な農業用ハウス構造の開発(第2報)

DOI
  • 長野 伸悟
    三重県中央農業改良普及センター紀州駐在 (現 三重県農林水産部農産園芸課)
  • 小林 広英
    京都大学大学院地球環境学堂
  • 宮地 茉莉
    京都大学大学院地球環境学堂

書誌事項

タイトル別名
  • Development and Application of Self-building Bamboo Structure for a Greenhouse (Part II)
  • -Case Study on “Improved Kumano Bamboo Greenhouses” Built by Cooperation with Bamboo Forest Maintenance Project in Kishu Region, Mie Prefecture-
  • ─「みえ森と緑の県民税」による竹林整備事業と連携して開発した改良型バンブーグリーンハウス(BGH)の事例─

抄録

これまで,農業者が自作できる低コストな農業用ハウスの開発を目的に,三重県熊野市において竹を構造部材に活用した小規模な農業用ハウス「バンブーグリーンハウス(BGH)」の開発および普及に取組んできた。前報(長野ら,2017)では,竹を利用することでハウス資材費を低減できることを実証したが,建設作業に長時間を要することが課題であった。また,建設作業とは別に竹材を入手するための作業時間が生じることも課題であった。本報では,これらの課題を解決するため,省力的に建設可能な BGH の構造を検討するとともに,行政が行う竹林整備事業との連携に取組み,過去の事例と構造面,コスト面を比較しつつ総合的に BGH の普及性を考察・評価した。 部材費は,本研究で開発した BGH3号および BGH4号のいずれにおいても前報における BGH2号より安価となり,一般的なパイプハウスの約半分に減じることができた。また,建設時間について BGH3号は延べ138.4時間,BGH4号は延べ77.2 時間と BGH2号の延べ267時間から大幅に低減することができた。竹の乾燥程度や強度のバラツキもあり構造計算による評価は難しいが,観察期間中に大きな損傷は見られなかった。ただし,BGH4号は側面からの風に対し,若干の「揺れ」が観察されている。 以上から,今回試作した BGH3号および BGH4号は既報の BGH2号より安価かつ簡易に建設できることがわかった。これらは,パイプハウスに比べ安価で小面積のほ場においても自作可能であることから,中山間地に位置する小集落での営農振興に役立つ可能性があると考えられる。また,行政等が行う竹林整備事業と連携することで資材調達コストの低減だけでなく,獣害の低減,里山環境の保全や人工林の保全にも寄与でき,地域社会全体に活力を与えるプロジェクトにもつながる可能性がある。ただし,ハウス全体の強度に関する定量的な評価が困難であったため,施工に際しては可能な限り強度の把握に努め,安全を確保することが必要である。

収録刊行物

  • 農業施設

    農業施設 50 (3), 107-116, 2019

    農業施設学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579078735213184
  • DOI
    10.11449/sasj.50.3_107
  • ISSN
    21860122
    03888517
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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