FDAがFAERSから特定し,公表した安全性シグナルの持つ意義は?

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抄録

自発報告は,医薬品による潜在的な有害事象のリスクを早期に特定する際に活用されており,市販後の医薬品安全性監視において重要な情報源である.ただし,報告バイアスの存在,分母情報が得られないために発生率を算出することができない,臨床情報の不足といった種々の限界が存在する.したがって,データマイニング手法に基づいてシグナルが検出されただけでは,医薬品と有害事象間の因果関係が結論付けられたことを意味せず,必ずしも検出された全てのシグナルについて何らかの規制措置が行われるわけではない.逆に言えば,将来に規制措置が行われる重大な情報である可能性もまた秘めているという,不確実性の伴う情報である.米国食品医薬品局(FDA)では,FDA Amendments Act of 2007に基づき,その保有する自発報告データベースであるFDA Adverse Event Reporting System (FAERS)より特定された安全性シグナルを公表している.なお,FAERSには2021年は230万件以上の自発報告が集積されており,非常に大規模なデータベースとなっている.<br>本稿では,Dhodapkarらが2008年から2019年の間にFDAより公表された安全性シグナルについて横断的に調査した報告を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Beninger P. et al., Clin. Ther., 43, 380-395(2021).<br>2) Dhodapkar M. M. et al., BMJ, 379, e071752(2022).<br>3) Mintzes B. et al., BMJ, 379, o2275(2022).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 59 (10), 949-949, 2023

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579134185817088
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.59.10_949
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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