経皮的バルーン血管形成術の基本:肺動脈狭窄

  • 宗内 淳
    独立行政法人地域医療機能推進機構九州病院小児科

書誌事項

タイトル別名
  • Basis of Transcatheter Balloon Angioplasty for Pulmonary Stenosis

抄録

<p>経皮的バルーン血管形成術は,狭窄血管を内腔より拡張し内膜から中膜にかけて一時的な亀裂・解離を生じさせ,より大きな内径へ血管リモデリングを促し血行再建することを目的とする治療である.術後遺残狭窄病変を対象に広く行われ圧較差・形態を主眼に対象病変を抽出する.狭窄病変は肥厚・萎縮・低形成・圧迫・硬化など多様性を包含し,基本的に経皮的バルーン血管形成術は肥厚病変に対して最も効果的であり,萎縮・圧迫・低形成病変に対してはバルーン治療の効果は期待できずステント治療・外科治療なども考慮される.血管形成用バルーンは高耐圧バルーンを基本とし,硬化病変に対して超高耐圧バルーンを選択する.狭窄部最小径と周辺の参照血管径から至適バルーン径を決定し,体格を加味してアクセスのためのシース・親カテーテル・ガイドワイヤーを決定してゆく.リスク評価として術後経過時間,人工物介在の有無,バルーン拡張時の周辺への干渉や血行動態に及ぼす影響を事前に評価した後,狭窄病変へのガイドワイヤーの導入,バルーンカテーテルのデリバリーと拡張,効果判定の各段階を経て実行される.適切で効果的なガイドワイヤーの留置が成功への鍵となり,治療システムが心内を通過する場合には治療中の血行動態変動に常に留意し治療システム全体の安定に努める.バルーンウエストの消失を治療完遂基準として数回の加圧を行い,バルーンカテーテル抜去後の血行動態測定と血管造影により最終的効果判定を行う.先天性心疾患における経皮的バルーン血管形成術は個々の多様な病変を対象とするため,その治療計画は個別に立案されるべきで経験の積み重ねが必要である.</p>

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参考文献 (23)*注記

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