就学直後に学習場面への強い抵抗感を呈した読み書き困難児童に対するひらがな読み指導の経過

書誌事項

タイトル別名
  • Progress in Hiragana Reading Comprehension Guidance for Children with Reading and Writing Difficulties who Showed a Strong Sense of Resistance to the Learning Field Immediately after Entering Elementary School
  • シュウガク チョクゴ ニ ガクシュウ バメン エ ノ ツヨイ テイコウカン オ テイシタ ヨミカキ コンナン ジドウ ニ タイスル ヒラガナ ヨミ シドウ ノ ケイカ

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抄録

近年,不登校の背景にある学習のつまずきの存在が指摘され学習障害と集団不適応が併存する事例報告も散見されるが,情緒の安定化を第一に据え学習面への直接的な介入は避けられる傾向にある.われわれは就学直後に登校しぶりを呈していた児童に読み書きの困難さを見いだし,学習場面への心理的負荷に対する配慮を十分に講じたうえで認知特性に合わせたひらがな読み正確性指導を行った.結果,約7か月間週1回の指導によりひらがな音読はほぼ完成し,未指導のカタカナや漢字に対して興味を示し,生活の中でひらがなを読んだり遊びに取り入れたりする姿が観察されるようになった.読み書き困難が背景の一つであると推測される不適応状況の解決の糸口として,体系的な文字学習での度重なる失敗の経験が比較的少ない学童期初期においては,発達段階や認知特性に配慮したうえでの苦手さそのものに対する段階的なアプローチの有効性が示唆されたと考えられた.

収録刊行物

  • 小児の精神と神経

    小児の精神と神経 63 (3), 231-237, 2023-10-01

    一般社団法人 日本小児精神神経学会

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