書誌事項
- タイトル別名
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- Diversity of temperate !ora at the Tado site, central Japan, during the last glacial stage, reconstructed from the Dr. Shigeru Miki collection
- Diversity of temperate flora at the Tado site, central Japan, during the last glacial stage, reconstructed from the Dr. Shigeru Miki collection
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抄録
本論文では三木茂博士が三重県桑名市多度で採取し,大阪市立自然史博物館に保管されている大型植物化石標本を再検討し,形態を記載した。標本の放射性炭素年代測定を実施し,MIS 3 に相当する 40,300–39,070 cal BP と最終氷期最寒冷期後半の 21,920–20,270 cal BP の 2 つの時代に形成された植物化石群に由来することが明らかになった。最終氷期最寒冷期の化石群はツガ,トウヒ属バラモミ節,カラマツ,ヒノキといった温帯性針葉樹が優占し,カツラ,サワグルミ,イヌブナ,アサダなどの温帯性広葉樹の多様性が高かった。ツガ属球果と同定された化石標本に付着した堆積物の花粉分析結果は,多度川沿いに発達した針広混交林の周囲に温帯性針葉樹林が広がっていたことを示していた。亜高山針葉樹林は付近の山地帯に分布しており,針広混交林とは隣接していたと考えられる。多度周辺の地域は最終氷期最寒冷期には太平洋と日本海の中間の内陸に位置していたが,その温帯性落葉広葉樹を含む植生はマツ科針葉樹が優占していた当時の中部日本での温帯性樹木のレフュージアだったと考えられる。博物館標本の再検討は最終氷期の古植生分布を復元する上で重要である。
収録刊行物
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- 植生史研究
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植生史研究 29 (2), 53-68, 2021
日本植生史学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390579233509035904
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- NII論文ID
- 40022576437
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- NII書誌ID
- AN10210142
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- ISSN
- 24359238
- 0915003X
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- NDL書誌ID
- 031472148
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可