前頭葉損傷に伴う妄想性誤認症候群─妊娠妄想を中心に─

  • 目黒 祐子
    東北医科薬科大学病院 リハビリテーション部言語心理部門

書誌事項

タイトル別名
  • Delusional Misidentification Syndrome Associated with Frontal Lobe Injury : Focusing on Pregnancy Delusion

抄録

<p>  妄想とは, 合理的な根拠をもたずに確信され, 容易に訂正しにくい事実から極端にずれた病的な判断や信念と定義されている。妄想はこれまで統合失調症やうつ病などの精神疾患, 認知症の進行過程で生じることが報告されてきた。特に妄想性誤認症候群 (DMS) はカプグラ症候群やフレゴリの錯覚など固有性や同一性の認識障害を呈する妄想であり, 右半球の損傷や両側前頭葉損傷で多く認められている。これは, 現実モニタリング機能の破綻と右半球の機能低下による左半球の過剰な活動性によって生じると考えられている。今回著者は, 前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血に対する瘤内コイル塞栓術後の妄想性誤認症候群のうち故人への生存妄想と食欲不振などの身体感覚を妊娠と錯覚した妊娠妄想についてその機序を検討したので報告する。 </p>

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参考文献 (6)*注記

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