美的画像特徴量を用いた西洋風景画の様式変遷の分析
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- 津田 裕之
- 同志社大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Analysis of Western Landscape Paintings Using Aesthetic Image Features
抄録
近年の視覚科学の研究から、人間の情景認識や質感認識は比較的単純な画像特徴量(スペクトル特性やフラクタル次元)の計算に基づいて処理されている可能性が示唆されている。同時に、それらの画像特徴量は視覚的な快さなどの美的(感性的)処理にも関連している。本研究ではそうした画像特徴量を美的画像特徴量と呼ぶ。本研究は、印象派を代表する3人の画家(モネ・シスレー・ピサロ)を対象に、彼らの絵画作品が持つ美的画像特徴量がどのような値を持ち、そしてどのような時系列変化を示すのかを検討した。その結果、美的画像特徴量の時系列変化は、美術史分野で知られている知見(各画家が生涯の中で示した絵画表現の時代変遷)とよく対応することが明らかになった。この結果は、絵画様式の時代変遷の指標として美的画像特徴量が有効であることを示すとともに、美術の歴史を人間の知覚や感性の特性という観点から基礎づけることができる可能性を示唆する。
収録刊行物
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- 日本認知心理学会発表論文集
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日本認知心理学会発表論文集 2023 (0), 115-115, 2023
日本認知心理学会