血液培養検査から検出された<i>Aerococcus</i>属菌の同定―当院で経験した<i>Aerococccus</i>属菌による菌血症の報告―

DOI
  • 八木澤 瞳
    国家公務員共済組合連合会立川病院中央検査科
  • 渡邉 真子
    国家公務員共済組合連合会立川病院中央検査科
  • 大江 知宏
    国家公務員共済組合連合会立川病院中央検査科
  • 吉田 菜穂子
    順天堂大学医学部熱帯医学・寄生虫病学講座
  • 黄 英文
    国家公務員共済組合連合会立川病院呼吸器内科

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of <i>Aerococcus</i> spp. in blood cultures: Report of bacteremia caused by <i>Aerococcus</i> spp. at our hospital

抄録

<p>Aerococcus属菌は通性嫌気性グラム陽性球菌で,泌尿器系疾患が背景にある高齢男性の尿路感染症の起因菌となることが多く,まれに菌血症や心内膜炎の起因菌となることが報告されている。泌尿器系疾患が背景にある高齢男性の菌血症3症例を経験し,1例は感染性心内膜炎であった。Aerococcus属菌は血液培養液でのグラム染色ではStaphylococcus属菌様に観察されるが,血液寒天培地上の集落ではα溶血性集落を示し,α溶血Streptococcus属菌やEnterococcus属菌に類似しているため,α-Streptococcusとして誤同定される可能性がある。また同定検査キットや機器においても,データベースが不足しているため同定が困難な菌種があり注意が必要である。実際に,当院で経験した3症例すべて,血液培養検査と同時に採取し外部委託検査会社へ検査依頼した尿培養検査の結果は,Streptococcus spp.と報告された。しかし,血液培養からの検出菌を同定後,院内で自動分析装置,API20Strepなどの同定キット及び質量分析を用いて再同定を行ったところ,3例全てAerococcus属菌と同定することができ,Streptococcus spp.は誤同定であったことが確認された。Aerococcus属菌の同定には,まず本菌の性質を熟知していることが重要であり,また今後の情報蓄積のために,質量分析(MALDI-TOF-MS)や遺伝子検査などによる同定確認が望ましいと考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 72 (4), 643-648, 2023-10-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579377437905408
  • DOI
    10.14932/jamt.23-35
  • ISSN
    21885346
    09158669
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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