クリミア・コンゴ出血熱

DOI Web Site Web Site PubMed 参考文献72件 オープンアクセス
  • 松野 啓太
    北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所危機分析・対応部門 北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所国際協働ユニット 北海道大学ワンヘルスリサーチセンター
  • 西條 政幸
    札幌市保健所 国立感染症研究所(名誉所員)

書誌事項

タイトル別名
  • Crimean-Congo hemorrhagic fever
  • クリミア ・ コンゴ シュッケツ ネツ

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説明

クリミア・コンゴ出血熱(Crimean-Congo hemorrhagic fever,CCHF)はクリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHF virus,CCHFV)の感染によって引き起こされる致命率の高い急性熱性疾患であり,エボラウイルス病などとともにウイルス性出血熱に分類される疾患である.CCHF患者はアフリカ,ヨーロッパ,アジアで散発的に発生しており,その発生地域は主なCCHFVの媒介節足動物であるHyalomma属のマダニの分布域と一致する.日本国内での患者発生はない.CCHFVは自然界においては動物とマダニの間で生活環を形成して存在している.家畜を含む幅広い種類の動物種がCCHFV感染に感受性であり,ヒトはCCHFVを保有するマダニの刺咬,あるいはウイルス血症を伴う動物(主にヒツジなどの家畜)との直接的接触で感染する.CCHFは人獣共通感染症である.臨床症状は初期では症状が非特異的熱性疾患であり,重症例では出血,意識障害などの症状が出現する.ダニ媒介脳炎,重症熱性血小板減少症候群,さらには最近北海道で新規ブニヤウイルス感染症として発見されたエゾウイルス感染症など,日本でもダニ媒介性ウイルス感染症が相次いで発生している.世界的に最も重要なダニ媒介性ウイルス感染症であるCCHFについても,その動向を今後も注視していく必要がある.

収録刊行物

  • ウイルス

    ウイルス 72 (1), 19-30, 2022

    日本ウイルス学会

参考文献 (72)*注記

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