栓友病と遺伝性血栓性素因

  • 大賀 正一
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野
  • 江上 直樹
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野
  • 堀田 多恵子
    九州大学病院 臨床検査医学/医学研究院 保健学部門 検査技術科
  • 内海 健
    九州大学病院 臨床検査医学/医学研究院 保健学部門 検査技術科
  • 落合 正行
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野 九州大学 環境発達医学研究センター
  • 石村 匡崇
    九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Genetic predisposition to early-onset thrombophilia: a study on challenges in personalized medicine for mothers, infants, and children
  • 栓友病と遺伝性血栓性素因 : 母子を守る個別医療へ
  • セン ユウビョウ ト イデンセイ ケッセンセイ ソイン : ボシ オ マモル コベツ イリョウ エ
  • —母子を守る個別医療へ—

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説明

<p>小児血栓症患者における遺伝素因の報告が増えている。小児期は年齢ごとに発症リスクが異なり,遺伝素因の寄与度も様々である。20歳までに発症する血栓症のうち遺伝素因が関与するものを“早発型遺伝性血栓症(early-onset thrombophilia, EOT)”として登録し,網羅的文献検索と併せて本邦患者の遺伝的背景と臨床経過を明らかにした。患者の60%以上をプロテインC(PC)欠乏症が占め,その半分以上が片アレル変異の保有者だった。年齢とともにプロテインS(PS)およびアンチトロンビン欠乏症が増加して主体となった。6~8歳の発症はなかった。日本人高頻度・低リスクバリアントのPC-TottoriとPS-Tokushimaも確認されたが,前者は重症PC欠乏症の発症に寄与していなかった。解析した32家系中de novo発症は1家系のみで,周産期の同時発症母子例が3家系あった。PC欠乏症を標的に適切なEOTスクリーニングを行って周産期血栓症から母子を守ることが期待される。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 64 (9), 1131-1136, 2023

    一般社団法人 日本血液学会

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