右陰囊粘液腫が診断の契機となった Carney complex の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Carney Complex Diagnosed in Right Scrotum Myxoma
  • ミギ インノウ ネンエキ シュ ガ シンダン ノ ケイキ ト ナッタ Carney complex ノ 1レイ

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抄録

<p>51 歳,男性。末端肥大症で持続性ソマトスタチンアナログ除放性製剤の投与治療中であった。数年前から左眼瞼と左外耳道に腫瘤がみられ,外科的切除し粘液腫と診断された。数カ月前から右陰囊内に腫瘤を自覚し,切除目的に当科に紹介され受診した。現症:右陰囊内に 3 cm の下床との癒着なく,可動性良好なドーム状隆起性弾性軟の皮下腫瘤があった。自覚症状はなかった。病理組織所見では腫瘍は真皮下層から脂肪織上層に存在した。壁は線維性被膜に覆われ,内容は疎らに存在する毛細血管や紡錐形の線維芽細胞,未熟な膠原線維と粘液よりなり,羽毛状概観を呈する充実性の部分と,粘液が貯留したと考えられる囊腫部分から構成された。陰囊粘液腫と診断した。病歴を調べ,既往歴に下垂体腫瘍による末端肥大症,大細胞石灰型セルトリ細胞腫,眼瞼粘液腫,甲状腺腫瘍,外耳道粘液腫があり,口唇の色素斑,陰囊粘液腫がみられることが Carney complex の診断基準項目に該当し,同疾患と診断した。Carney complex の予後に影響する心臓粘液腫は,心臓超音波検査を施行したがみられなかった。原因遺伝子として同定されているPRKAR1A(protein kinase A regulatory subunit 1-alpha subunit)遺伝子変異については,本人の精査希望がなく,遺伝子検索は施行しなかった。今回,われわれは陰囊粘液腫から Carney complex と診断することができた。Carney complex は稀な疾患ではあるが,皮膚病変(色素斑・青色母斑・粘液腫)のみでも診断可能な疾患であるので,予後を考え,早期に他科と連携し,精査加療が必要な疾患であると考える。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (5), 356-361, 2023-10-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (9)*注記

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