日本の精神保健医療福祉における「当事者による支援」言説 : 先行研究を通してみた変遷過程

DOI 機関リポジトリ Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • The "mutual support for people with mental illness" discourse in Japanese mental health : transition process through previous studies
  • ニホン ノ セイシン ホケン イリョウ フクシ ニオケル トウジシャ ニヨル シエン ゲンセツ : センコウ ケンキュウ オ トオシテ ミタ ヘンセン カテイ
  • 日本の精神保健医療福祉における当事者による支援言説 : 先行研究を通してみた変遷過程

この論文をさがす

抄録

近年精神保健医療福祉の分野では,専門職による支援と並び,精神障害当事者による支援(ピアサポート)が取り上げられるようになっている。本研究ではピアサポートやセルフヘルプといった当事者による支援が専門職の中でどのように語られてきたのか,その変化がどのように構成されてきたのかを明らかにすることを目的とし,1990年代から時系列にその言説の変化を追った。 2000年代~2010年代にかけ,行政主導の事業の展開を機にピアサポートという言葉が主流になり,これまで当事者による支援の中心であったセルフヘルプに関する言説は減少していった。言葉の変遷とともに,専門職への抵抗としての新たな支援であったセルフヘルプは時代の経過の中で一つの支援として認識され,それを基盤としたピアサポートも機能から役割,仕事へという変化がみられた。精神障害のセルフヘルプやピアサポートは制度政策との関連の中で変化していること,同じ悩みや経験をもつ仲間同士の分かち合いの場であったセルフヘルプやピアサポートが仕事へと移行していく中で,当事者の「経験」が強調されるようになり,相互の営みや運動といった文脈は減少しているということが明らかになった。専門職との関係性も協働していく存在としての言説が主流になっており,今後,ピアサポートの自律性が守られる協働とは何か,追求していく必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ