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- 稲葉 昭英
- 慶應義塾大学文学部
書誌事項
- タイトル別名
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- Kiyomi Morioka’s Typology of Family Systems
抄録
<p>森岡清美が日本の家族研究に果たした役割の大きさは言うまでもない.その森岡の家族研究の基盤に存在するのが家族の分類・類型論である.本稿では森岡が自らの研究生活の多くを割いた直系家族制と夫婦家族制の類型概念に視点をあて,その問題点を検討する.森岡の直系家族制・夫婦家族制の概念には子夫婦との同居の原則の有無と家族の直系的再生産の有無という二つの要素が混在しており,このために直系制をめぐるその後の議論に混乱が生じたように思われる.こうした概念の多義性が生じた理由は,この概念の成立過程を辿ることで明らかになる.森岡の家族類型概念の淵源は鈴木栄太郎によってつくられた類型概念にあり,この類型は家族の直系的再生産という日本的な典型性を概念化する目的で作られていた.この概念を核家族論によって再構成したのが森岡の類型論であったが,この結果として概念から日本的な典型性を排除しえなかったと考えられる.</p>
収録刊行物
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- 家族社会学研究
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家族社会学研究 35 (2), 146-157, 2023-10-31
日本家族社会学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390579675966428032
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- ISSN
- 18839290
- 0916328X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可