リポソーム修飾剤としてのヒアルロン酸の可能性

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抄録

皮膚を利用した薬物送達は経口投与や皮下注射に比べ非侵襲的であり,投与の容易さから患者に受け入れられやすく,初回通過代謝が回避できるなどの利点がある.これまでにも,皮膚からの薬物送達のためのキャリアとしてリポソームをはじめとした様々な脂質ベシクルが開発されており,組成や表面修飾によって物性の改善が図られてきた.また近年,ヒアルロン酸(HA)と複合体を形成したタンパク質や薬物の経皮吸収が向上するという報告がある.HAは保水性や生体適合性,粘弾性に優れ,スキンケア製剤や外用剤の開発において需要が高い.しかし,皮膚は細胞間脂質を本体とした生体バリアにより異物の侵入を防いでいるため,親水性かつ高分子ポリマーであるHAはこのバリアを突破するのが困難であると考えられ,HAが皮膚内へ浸透するメカニズムについては未知の部分が多い.本稿ではHAによって修飾したリポソームの特性および,その経皮吸収促進効果について報告したNiらの研究を紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) Guillot A. J. et al., J. Control. Release, 355, 624-654(2023).<br>2) Ni C. et al., J. Control. Release, 357, 432-443(2023).

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 59 (12), 1123-1123, 2023

    公益社団法人 日本薬学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579830882747520
  • DOI
    10.14894/faruawpsj.59.12_1123
  • ISSN
    21897026
    00148601
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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