後腹膜アプローチによるロボット支援手術のトラブルシューティング

DOI
  • 山﨑 俊成
    神戸市立医療センター中央市民病院 泌尿器科

書誌事項

タイトル別名
  • Troubleshooting in Robot-Assisted Surgery with Retroperitoneal Approach

抄録

<p> 泌尿器科領域のロボット支援手術において, 手術部位への到達アプローチに選択肢を持つことは, 手術適応の判断や手技の容易さとそれに伴う合併症軽減の観点から有用である. 経腹膜アプローチと後腹膜アプローチではワーキングスペースの広狭, 解剖学的ランドマークの多寡, 周囲臓器損傷のリスクといった点で従来の体腔鏡下手術と同様の違いがあるが, ロボット支援手術の導入により後腹膜アプローチの短所が改善された側面もある. RARPでは一般的に経腹膜アプローチが選択されることが多いが, 腹部の手術既往や合併症により高度頭低位が困難な症例に対しては後腹膜アプローチが有効である. また, RAPNでは腫瘍位置により腫瘍周囲の剥離や切除の難易度に大きな違いが生じるため, いずれのアプローチにも習熟しておく必要がある. 一方で, 後腹膜の限られた空間での鉗子操作にはより習熟した技術を要する上に, 腹膜の開放により気腹されるとワーキングスペースがさらに狭くなり, 出血により術野の視野が不良となりやすい点にも注意を要する. われわれの施設では, RARPでは骨盤内リンパ節郭清の有無により, RAPNでは腫瘍位置によりアプローチを使い分けているため, 比較的多くの症例を後腹膜アプローチで遂行している. 本稿では後腹膜アプローチRARPおよびRAPNのポート配置, 術野展開, 術中手技についての現状を述べるとともに, 術中トラブルに対する留意点や対応について概説する. 事前の十分な手術計画とシミュレーションにより, トラブル自体を回避する努力が最も大切であるが, 起こりうるトラブルを想定し, 安全で確実なトラブルシュートを選択できることも重要である.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579830883102464
  • DOI
    10.11302/jserjje.36.2_175
  • ISSN
    2436875X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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