大学新入生におけるライフスキル獲得と自尊感情との因果関係の推定

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抄録

<p>【目的】本研究では, 大学一年生を対象に,秋冬学期の開始時と終了時に収集した2波のパネルデータからライフスキル(以下,LSと略す)と自尊感情との因果関係を推定することを目的とした.</p><p>【方法】大学のSLS科目を受講した一年生541名に対してアンケート調査を行い,回答に欠損値のなかった203名(男性:157名,女性:46名,年齢:18.8±0.9歳)を解析対象とした.第1回目の調査(T1)は2022年度秋冬学期の開始時とし,第2回目の調査(T2)は,同年度の秋冬学期の終了時とした.本調査では,LSは島本・石井(2006)による日常生活スキル尺度(大学生版)を用い, 自尊感情はMimura & Griffiths(2007)による尺度を用いた.統計解析はAmos17.0を用いて共分散構造分析を行った. </p><p>【結果】推定された交差遅れ効果から,LS獲得と自尊感情との因果関係を推定した.この結果,T1の「対人スキル」がT2の自尊感情に負の影響を与えることが示された(β=-.24,p<.01). </p><p>【考察】WITHコロナではインターネット上でのコミュニケーションの機会が多くなり,いわゆる「画面越し」のリモート環境では視覚的な手がかりが捉えにくいため,相手の意図を正しく見抜くことは対面によるコミュニケーションよりも難しいと報告されている(Kiesler,Siegel,&McGuire,1984).このため,大学一年生では,新環境への適応に加え,リモートによる対人コミュニケーションによりLS獲得のハードルが上がると予測される.さらに,リモートによる「顔だしなし」のコミュニケーション場面では,相手の表情やリアクションといったフィードバックがないため,他者に対する猜疑心や不信感が形成され,結果として自身の自尊感情に負の影響を与える可能性が示唆された.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579830883304832
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.73.0_323
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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