暑熱環境での日射を模した輻射熱暴露の有無が低強度運動時の体温調節反応におよぼす影響

DOI

抄録

<p>学校生活上、日向を長時間歩くことがあるが、その時の体温調節系への負荷はほとんどわかっていない。本研究は暑熱環境での日射暴露の有無が歩行を模した低強度運動時の体温調節反応に及ぼす影響を検討することを目的とした。実験対象者は12名の若年男性 (年齢21±2歳、身長173.4±5.7cm、体重68.4±10.8kg、体脂肪率19.1±3.8%、最大酸素摂取量38.0±4.3ml/kg/min)であった。実験条件は日射有条件 (室温 29℃、相対湿度 60%、 黒球温度 45℃、湿球黒球温度28℃)と日射無条件 (室温29℃、相対湿度60%、黒球温度29℃、湿球黒球温度25℃)であった。実験運動は歩行と同程度の負荷である最大酸素摂取量の30%負荷強度にて1時間の自転車こぎ運動を行い、その間の直腸温、皮膚温、前腕局所発汗量を測定した。実験前後の体重変化から体重減少量を算出した。運動後の直腸温の上昇度では日射有条件 (約0.4℃)と日射無条件(約0.4℃)との間には有意差はなかった (p=0.60)。平均皮膚温の上昇度では日射有条件 (約1.9℃)が日射無条件 (約0.8℃)に比較して有意に高かった (p<0.001)。前腕局所発汗量では日射有条件 (約0.63 mg/cm2/min) が日射無条件 (約0.30 mg/cm2/min) に比較して有意に高かった (p<0.001)。したがって、 体重減少量も日射有条件 (約0.6kg)が日射無条件 (約0.3kg) に比較して有意に多かった (p<0.001)。これらのことから、暑熱環境で日射に曝されながら低強度運動を行った場合には、日射が当たらない場合のそれと比較して核心温の上昇度は同程度かつ軽度に抑えられるが、それは発汗量の増大によることが示唆された。したがって、日射に曝されるような環境では低強度運動であっても積極的な水分補給をする必要性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579830883457280
  • DOI
    10.20693/jspehssconf.73.0_575
  • ISSN
    24367257
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ