「朝起きることができない」思春期患者:睡眠医療の視点からみた現状,対応と課題

DOI
  • 神山 潤
    東京ベイ浦安市川医療センター小児科

書誌事項

タイトル別名
  • Adolescents with difficulty in morning awakening : current knowledge, care plan, and future problems from a sleep medicine viewpoint

抄録

<p> 「朝起きることができない」に該当する英語表記は,International classification of sleep disorders version 3ではdifficulty(in morning)awakeningで,その邦訳は覚醒困難あるいは起床困難である.「朝起きることができない」は世界的に重要な思春期の睡眠関連課題とされ,調べ得た範囲では思春期世代の40~90%でこの訴えがある.不登校,成績不良,入眠前の電子機器使用,就床時刻の遅れ,飲酒,喫煙,抑うつ,sluggish cognitive tempo症状との関連が指摘され,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,長時間睡眠者,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,睡眠・覚醒相後退障害,睡眠不足/睡眠不足症候群,特発性過眠症,精神科的疾患との鑑別も必要であることがわかった.本邦一般小児科医にとってcommon diseaseとなった起立性調節障害の身体症状項目にも「朝起きることができない」はある.しかし起立性調節障害の英文ガイドラインでは,「朝起きることができない」は覚醒困難ではなく寝床からの起き上がり困難を意味していた.「朝起きることができない」思春期患者への対応を文献的にまとめ,思春期の「朝起きることができない」の今後の課題として,睡眠衛生指導法(介入方法)のブラッシュアップ,睡眠を尊重する社会啓発,飲酒喫煙防止教育の充実,夜間のメディア機器使用対策,睡眠慣性/睡眠酩酊に関する研究,生体指標の検討の6点を挙げた.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 55 (6), 413-420, 2023

    一般社団法人 日本小児神経学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579852781531904
  • DOI
    10.11251/ojjscn.55.413
  • ISSN
    18847668
    00290831
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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