本邦における自家培養表皮ジェイス<sup>®</sup>による熱傷治療の歴史,変遷,実績,問題点

DOI
  • 松村 一
    東京医科大学形成外科学分野
  • 黒柳 美里
    横浜市立大学附属市民総合医療センター高度救命救急センター/横浜市立大学医学部救急医学/横浜市立大学医学部形成外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Autologous Cultured Epidermis JACE<sup>®</sup> : History, Transition of Usage, Actual Usage, and Challenges in Japan

抄録

<p> 自家培養表皮ジェイス®は広範囲熱傷治療において重要な役割を果たしており, その歴史, 臨床使用の変遷, 実績, 問題点について論じた. 自家培養表皮の作製方法は米国のGreenらにより1975年に確立され, 本邦ではジェイス®として製品化され, 2007年に製造販売承認を取得し, 2009年に保険収載された. ジェイス®は非常に薄くて弱いため, 当初は生着や剝離の問題があり, 移植母床の選択も悩ましい課題であった. ハイブリッド法と呼ばれる自家高倍率メッシュ植皮との併用方法を行うようになり, その生着率が改善された. さらに, ジェイス®の使用により広範囲熱傷の救命率も向上した. 2009年から2022年までに約3万2,000枚のジェイス®が移植されたが, 移植にいたったのは皮膚採取された患者の約70%であった. これは, 培養期間中に状態の悪化する患者が相当数いるためであった. このため, 採取・培養キットと調整・移植キットに保険償還が分けられることになった. また, 保険改定により保険償還される上限枚数が徐々に増加してきたが, それ以上の使用が必要かつ有効な症例も多く存在している. 今後の保険改定にてさらなる使用上限枚数の緩和に期待が寄せられている.</p>

収録刊行物

  • 熱傷

    熱傷 49 (5), 235-241, 2023-12-15

    一般社団法人 日本熱傷学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579941286635008
  • DOI
    10.34366/jburn.49.5_235
  • ISSN
    24351571
    0285113X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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