中国人随伴・結婚移住女性はなぜ母国向けの「代理購入」を行うのか

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  • 社会的行為としての側面に着目して

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<p> 日本に赴任する夫に随伴、ないし日本在住の夫と結婚するために日本に移住した中国人女性は、言語・慣習・法律など多くの障壁ゆえに日本社会において周縁的な位置に置かれ、社会的孤立などの困難を経験しやすい。本稿の目的は、こうした女性らによるインフォーマル経済としての私人「代理購入(以下、代購)」活動に焦点を当てることで、この活動が彼女らの社会経済的位置および自己認識にどのように影響するかを解明することである。こうした変化は、移民女性についての従来の視点、すなわち、下方移動論とエスニック・ビジネス論では捉えきれないものであり、また、私人代購をもっぱら経済活動としてのみ捉える視点からも見えてこないものである。</p> <p> 日本に随伴・結婚移住した中国人女性7名の調査を通じて、私人代購には経済活動として収入を得るという経済的価値があることがまず明らかになった。それだけでなく、私人代購を社会的行為として検討してみると、日本での生活のなかで疎外感と孤独感を感じた女性らにとっては、私人代購には日本社会と接点を持つ手段としての側面はもちろん、母国の人との関係を保つ手段としての側面があることがわかった。また、女性らは消費者との相互作用のなかで、他者から必要とされることを通じて自分の価値を見出しており、私人代購には承認獲得行為としての側面もあることが確認できた。しかし、中国人を対象に行う母国向けの経済活動の多くは中国語でおこなうことができるため、日本社会への統合の側面から見ると私人代購には限界もあることを指摘しなければならない。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390579985694225536
  • DOI
    10.32167/arws.44.0_3
  • ISSN
    24343870
    03895203
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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