芥川龍之介の児童文学の文体に関する計量的分析

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タイトル別名
  • Quantitative Analyses of <i>Ryūnosuke Akutagawa</i>'s Children's Literature

抄録

本研究では芥川龍之介の児童文学の文体的特徴を分析するために,芥川の児童文学8作品を対象に語彙の難易度,語彙の豊富さ,統語複雑度,平均文長を計量的に分析した.その結果,次の3点が明らかになった.第一に,芥川の成人文学に使われている語彙に比べて,芥川の児童文学に使われている語彙はより簡単であり,語彙の種類もより少ないことが明らかになった.第二に,彼の児童文学において統語複雑度は成人文学より低く,平均文長も短いことがわかった.第三に,芥川の児童文学の文体的特徴は一般の児童文学の文体的特徴をある程度反映していることが明らかになった.このことから,芥川の成人文学に比べて児童文学は読みやすいことが示唆された.これは彼が自らの子ども,親せきの子ども,主治医の子どもを直接の読者に想定して児童文学を創作したことによるものであると考えられる.

収録刊行物

  • 計量国語学

    計量国語学 33 (7), 526-540, 2022-12-20

    計量国語学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390579996561012864
  • DOI
    10.24701/mathling.33.7_526
  • ISSN
    24330302
    04534611
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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